経理配属になったら日商簿記1級合格を目指したい
私が感じる簿記1級取得のメリットを紹介します。
簿記2級を取得してこれから簿記1級の勉強を始めようとしている人、公認会計士や税理士受験と迷っている方の参考になれば幸いです。
日商簿記1級は日商簿記2級とは比べ物にならないくらいカバー範囲が広く、合格率も10%程度の難関資格です。軽い気持ちで勉強を始めるとダラダラと何年もかかる長期戦になりかねません。
自分の中で「簿記検定1級取得のメリット」をしっかりと認識し、辛い時にも初心を忘れないことが大切です。
日商簿記検定と全経簿記検定の違いについて
簿記検定には日商簿記検定と全経簿記検定の大きく2つの種類があります。
日商簿記は、日本商工会議所と各地商の工会議所が主催している試験で、就職や転職でも評価されることの多い有力な資格です。一般的に簿記1級という時には、日商簿記検定1級を指します。
一方で全経簿記は、社団法人全国経理教育協会が主催している資格試験です。
商業高校の学生が主な受験生です。全経簿記には1級の上に「上級」があります。
全経上級は日商簿記検定1級とカバー範囲が重なっているものの日商簿記1級よりは少し簡単(変な応用問題が少ない)ため、日商簿記1級の取得を目指して勉強している方が腕試しに「全経上級」を受けることが多いです。
日商簿記1級を勉強されている方は、「全経1級」よりも「全経上級」の方が良く名前を聞くと思います。
日商簿記検定1級の合格率は?
日商簿記検定1級の合格率は10%前後で推移しています。
第158回(2021.6.13)は9.8%。
私が受験した第157回(2021.2.28)は、7.9%でした。
毎回の合格者は600名〜1,100名程度で、年間で2,000名程度しか合格者は増えないため、とても希少性が高いと言われています。
日商簿記1級のメリット1 経理人材としての市場価値高まります
日商簿記検定1級を取得しようとする方は、企業の経理部に所属している方が多いのではないでしょうか。
経理未経験で転職をしたいという方は、日商簿記1級を取得するより、先に簿記2級(+英語力が少しでもあると転職しやすい)を取得して、まずは経理職に転職して経験を積むのが近道です。
もしあなたが経理実務経験+日商簿記1級を持っていれば、経理の転職市場でさらなるスッテプアップをすることが可能です。
経理部への転職だけでなく、経理部門のDXやERPシステムの開発・導入をしている会計系ITベンダーや会計系ITコンサルに転職して、これから不足すると言われているIT人材として新しいキャリアを歩むことも可能です。
中小企業では簿記1級の知識は過剰と思う方もいるかもしれません。
確かに知識としては過剰です(上場企業でも実際に使う知識は数%です)が、もしあなたが誰も簿記1級を取得していない中小企業に所属していれば、あなたの企業内の評価はうなぎのぼりでしょうか。そして、あながた希望をすれば上場企業への転職も容易になります。
人生の選択肢を増やすことができます。
転職しなくとも、そんな貴重な人材は会社も手放したくないでしょうから、給与交渉や昇給交渉を優位に進めることができます。経理人材としての市場価値を高めるために、誰でもできて確実にできる最短ルートだと感じています。
日商簿記1級のメリット2 実務で使える幅広く深い会計の知識が身につく
経理マンとして数十年の経歴がある方でも、日々の経理業務を頭を使わずに、仕訳を過去の伝票を同じように行っているだけでは経理マンとして必要な知識は身につきません。
複雑な会計処理や税務申告は監査法人や税理士法人におまかせしている経理部に所属している経理マンも多いのではないでしょうか。
また、あなたは会計基準を読んだことがない方、会計基準を読んでも書いてあることが理解できない経理マンになっていませんか? (個人的にはそういう方は経理マンというより、ただの経理の仕事をしている人というきがします)
日商簿記1級を取得することで、経理マンとして活躍するために必要な、幅広くそして深い会計知識を身につけることができます。会計基準の内容が理解でき、新聞や有価証券報告書に記載されている数字の裏側を理解することができます。
新卒で経理部配属になった新入社員や未経験で経理部に転職しようとしている方からすると、会計知識が何も無い状態で経理の仕事ができるのか不安になると思います。
しかし、日々の業務は高度な会計知識が求められる仕事をしてるのは一部の経理マンで、大多数の方は日商簿記3級や日商簿記2級程度の知識があれば十分こなせてしまうと実感すると思います。
自分の頭で考えることを放棄していても、前年踏襲で同じように処理をしていれば通常業務を回すことができます。(むしろ会計の知識は3級程度あれば十分で、Excelを使った関数や集計の知識が求められることが多いということも・・・)
連結会計基準や資産除去債務会計基準、ストックオプション会計基準等など、普段の業務では一生使わないテーマという方も多いでしょう。
繰り返しになりますが、日商簿記簿記1級を勉強することで、会計に関する幅広い知識を体系的に勉強することができます。
日商簿記1級を独学で勧めたり、誤ったスクールを選択してしまうと、万が一合格してもただ合格のための暗記しかできず、実務で使える生きた会計知識を身につけることができないため、スクール選びは重要です。
TACや大原等の大手スクールでも良いとは思いますが、私はまずはプロフェッショナル簿記のオンデマンド会員(月額5,000円)を強くおすすめします。
日商簿記1級のメリット3 一つの山を登りきることで次の山が見えてくる
日商簿記1級の取得は、ひとつの大きな山を制覇することに似ています。
日商簿記1級を取得するれば「会計の専門家として私は経理で生計を立てています」と胸を張って言えます。
日商簿記1級取得は企業会計に携わるものの最初のゴールです。
そして、日商簿記1級を取得することが、次のステップに踏み出すきっかけになります。
せっかく日本の会計基準を勉強したのだから次は、
- 税務の分野を勉強して税理士を目指してみようとか…
- 監査や企業法を勉強して公認会計士を目指してみようとか…
- 次は米国の会計基準を勉強してUSCPA(米国公認会計士)を目指してみるとか…
- 経営学を勉強して中小企業診断士を目指してみようとか…
- プログラミングを勉強して会計×ITのキャリアを築いてみようとか…
自分の中にひとつの太い柱ができ、その先のキャリアにはを描くことができます。
日商簿記1級取得後のキャリアをどのように描くかはあなたの気持ち次第です。
私は今税理士を目指していますが、プロ簿記で勉強して日商簿記1級を取得してから税理士を目指したことは近道だったと思います。もちろん、日商簿記の工業簿記は税理士試験には出題されないため、工業簿記・原価計算は不要ですが、税理士試験を目指している方もまずは簿記1級を勉強するのも良い選択だと感じます。
日商簿記検定1級を取得したので、次は税理士か中小企業診断士
私は、日商簿記検定1級を2021年2月に取得する事ができました。
次のステップとして、私は税理士を目指すことに決めました。現職の業務で法人税や消費税に触れる機会も多いため、まずは部署内で初めての企業内税理士を目指して勉強を開始しました。
2021年3月末からスタディング税理士講座で「簿記論」と「財務諸表論」の勉強をしています。
ただの営業マンから未経験で経理職に転職して、プロ簿記に出会い、日商簿記1級に合格しました。簿記1級を取得する前は、税理士なんて遠い存在でしたが、簿記1級を取得したことが自信になり、決断の後押しをしてくれました。
簿記論・財務諸表論の試験範囲は日商簿記1級の商業簿記・会計学の出題範囲と重なっていますが、出題形式が異なっていることと財務諸表論では新たに理論問題をこなさなければならないため、必死に過去問演習と理論問題をこなしています。
簿記論・財務諸表論の試験範囲は日商簿記1級の商業簿記・会計学の出題範囲と重なっている部分が多いですが、出題の形式が若干異なっている+財務諸表論は理論暗記が必要なため、合格の可能性は50%程度と感じています。
2021年8月の受験でどちらかでも合格すればラッキーという軽い気持ちで受験します!
最後に・・・日商簿記1級は誰でも合格可能な資格です
日商簿記1級は確かに難関資格ではありますが、一部の天才しか合格しないような超難関試験ではありません。正しい教材で正しく勉強すればかならず合格できる資格です。
初めて本屋で日商簿記簿記1級の問題や過去問を見た時は、一生かかっても理解できないなと思いその場を立ち去りました。
プロ簿記の講座を一通り聞いて、確認テストを終えて、最初に過去問を解いた時も、初見ではほとんど回答することができませんでした。日商簿記検定1級の壁の高さに絶望しました。
しかしその後、解放マスターを受講して、過去問演習を繰り返すことで、知らず知らずのうちに合格点を獲得することができるようになりました。
1年・2年は勉強時間を捻出することが必要ですが、諦めなければかならず合格できます。プロ簿記を信じて勉強すれば必ず合格することが可能です。
一緒に会計の専門家としての道を歩みましょう!
この記事があなたの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。